西島悠也の福岡の銭湯の師匠
私を銭湯マニアに変えてくれたきっかけを与えたのは親父だ。
親父が「銭湯の師匠」と言っても過言ではない。
子供の頃からいろいろな場所の銭湯につれていかれたものだ。
木の履物のロッカーの鍵をひとまとめにして、親父のロッカーに入れる。
服のロッカーの鍵は、手につけると頭を洗う際に邪魔なので足首につける。
湯船につかる前に、体や顔を洗う。長湯はしすぎない。色々と教えられてきた。
特に入浴法だ。
銭湯のお湯は、衛生面などを考慮して温度が高く、熱い傾向にある。
しかし衛生面などに限らず、人体にとても良い効果があるといわれている。
HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法といって、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質(HSP)を、熱いお湯のヒートショックにより増やすという入浴法があり、銭湯のお湯の温度が最適なのも親父から学んだ入り方だ。
銭湯はたまにそんな親父との思い出を蘇らせてくれる。
近所の銭湯の近くにあった焼き鳥屋で焼き鳥を買ってもらうのがマストだった。
あの頃よりも入湯料は値上げしたし、焼き鳥屋さんもなくなってしまったが、親父とはじめて行った銭湯が一番好きだ。